■人々はどのように企業ブランドを認知するのですか。
またブランド構築には、どのような要素が不可欠なのですか?
私たち消費者は、さまざまな場面で企業名や広告活動、商品そのものに触れ、購買活動を行っています。その普段の何気ない行動の中で人々は、さまざまなブランドを認識し、商品やサービスを購入するかどうかの判断をしています。私どもランドーアソシエイツの創始者であるウォルター・ランドーは『製品は工場で作られ、ブランドは心のなかで創られる』という言葉を残しています。彼はデザイナーとして活躍する傍らでリサーチとデザインを融合させ、ビジネスにおけるデザインの経済価値と効果的な視覚的コミュニケーションの手法を確立した第一人者です。60年に渡って世界的な有力企業のブランド構築を手がけてきた中で、ブランドを認知するということは主に視聴覚がそれを感じ取るものであり、「ブランド」と「デ� ��イン」には常に相互関係があると我々は言い続けています。
ブランド構築には単に、難しい理論や分厚いリサーチ資料を作ることだけではなく、人間の五感に働きかける「ブランディングデザイン」、つまりブランドを知覚伝達するためのクリエイティブ力が基本的に重要だと考えています。よく例として人間の左脳と右脳の関係をお話しするのですが、理論的に考察する部分と直感的にイメージする部分の2つの側面がブランド構築には必要です。ですからキーワードだけでブランドを構築することは難しく、反対にロゴやデザインだけでもブランドはできません。その両輪がうまく連動していかなければならないということをご理解ください。
■以前、日本でもCIブームがありました。CIとブランディングは何が違うのですか?
確かに1980年頃に日本でもCIがブームになりました。しかし、ブランディングが大きく注目されたのは、ここ10年くらいのことです。何が違うのかというご質問ですが、最も異なる部分があるとすれば、ブランド価値を金額換算するようになった点です。これは「ブランド・バリューエーション(ブランド価値評価調査)」という新たな概念なのですが、ブランドには知名度や信頼感といった無形の価値があり、それを企業資産として評価したのがブランド・バリューエーションです。企業は、日頃からマーケティング活動などの投資を通じてブランドの認知度や適切性を高め、そのブランド価値を高める努力をしています。ブランド・バリューエーションはそうした投資結果を資産として評価しようという考えであり、米国ではマーケ� ��ィング戦略のうえで非常に重要なものであると考えられてきました。
それが日本にも到来し、ブランディングブームの火付け役となったと考えられますが、日本ではブランド・バリューエーションは定着しなかったと言ってもよいのではないでしょうか。企業間におけるM&Aが日常化された現在、必ずしも財務的なファクターだけがそのブランドにおけるすべての価値を実証できるものではないという認識に気付いた企業が多かったということになるのではないでしょうか。近年のグローバリゼーションの進行とともに経済、社会、環境といった各分野でさまざまな課題が生じ、企業はサプライチェーンを含めた多様なステークホルダーに対して「企業の社会的責任」を誠実に果たしていく、つまりCSR(Corporate Social Responsibility)の視点が2003年頃から注目されてきたということも、ブランド・バリューエーションが定着しなかった理由になるかもしれません。
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■ブランディングを行った場合と行わない場合では、どんな違いが生まれるのですか?
ブランディングは知覚伝達するクリエイティブ力が必要であると申し上げましたが、もっとわかりやすくご説明しましょう。これは初歩的なアプローチとして有効なので、ぜひ皆さんの会社でも試していただきたいのですが、従業員の方々に自社のイメージを聞いてみてください。「まじめ」「やさしい」「チャレンジング」など、さまざまな言葉が出てくると思います。ではもっと具体的に物に例えたらどんなイメージになるでしょうか。自社イメージを椅子で考えると、ソファーでしょうか、それとも機能的な事務椅子ですか。また花だったら、どうでしょうか。バラなのか、ひまわりなのか、たんぽぽでしょうか。おそらく、いろんな種類の花を示す答えが返ってくるでしょう。たとえば1,000人の会社では、それは1,000通りの花� �名が挙がるかもしれません。
ここでもし、すべての従業員の方々が「ひまわり」だと答えたとすれば、それは全員が同じイメージを共有していることになります。そして会社が「ひまわり」のようになるためには、日常業務でどう行動すべきかという意識も芽生えてくるはずです。また、顧客をはじめとするステークホルダーに対してどう接すれば良いかも明確になります。つまり、企業全体に対してある一定の方向を示すことが、ブランディングの第一歩です。たとえば「明るく元気でのびのびとしたひまわりになろう!」というようなことでも、わかりやすくイメージで動機づけができるので、自社ブランドのコミュニケーションのひとつになり得るわけなのです。
■では従業員の方々が同じイメージを共有して行動すると、どんな作用が起こるのですか。
また、どうしたらイメージ共有がうまくいくのですか?
企業では毎日、従業員の方々がさまざまな業務を遂行しています。そして直接お客さまに接する従業員も多いはずです。たとえば従業員1人が毎日10人のお客さまと接しているなら、1,000人の企業では日に10,000人のお客さまと接していることになります。もし従業員が正確にブランドイメージを訴えるためのブランドの伝道師であるならば、自社ブランドの原動力は膨大なものになります。また、お客さまに接しない部門であってもこれは重要です。製造部門やアフターサービス部門の方々が、自社のブランドイメージを明確に捉えそのイメージを履行した行動を心がけることで、商品やサービスも一定の方向性を堅持できるからです。
ブランディングというと経営者の方々は、お客さまを中心とした広告的なアウターへの施策を考えがちですが、インナーブランディングがいかに重要かということもご理解いただけたかと思います。そして、企業イメージの共有とともにそのイメージに合致したクリエイティブのトーン&マナーで、お客さまや従業員が日々接するパンフレットなどのタッチポイントツールが統一されることによって、自社ブランドの具体的な世界観がお客さまに伝わります。お客さまは日々それらを目にし、従業員の方々の話を聞きながら、そのブランドの強い想いを感じるはずです。
インナーブランディングの施策のひとつとしては、ブランドブックをすべての従業員の方々に配布して啓発活動を行うことがあげられます。今まで社内研修や社内誌等でブランドを浸透させようとしてきましたが、なかなか機能しにくいということに気づかれている企業の担当者の声を良くお聞きします。弊社では社内啓発のためにブランドブック以外にもさまざまなツールを作成する海外事例が数多くあります。私どもがブランドブック制作のお手伝いをするうえで重要なポイントとしているのは、どうすれば従業員の方々に自社ブランドを直感的に、感覚的に理解していただけるか、そして自社ブランドに誇りや情熱を持っていただけるかという視点です。内容の構成はケースバイケースでさまざまな手法がありますが、共通する� �はビジュアルを多く用いたブランドのルック&フィールを大切にしたクリエイティビティが存在するかどうかを基本にします。文字ばかりの熟読しないと理解できない難解なブランドブックでは、きっと従業員の方々にとって退屈なはずですから。
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■細谷氏が手がけられた事例をもとに、ブランディング・プロセスをご紹介していただけますか?
では、ホーユー株式会社様(以下、hoyu)の事例でブランド創造の過程をご紹介しましょう。ヘアカラーメーカーNo.1のhoyuでは創業100周年を迎え、次の100年の、新たな夢の実現に向けて企業ブランドの再構築を行いました。hoyuはご存じのように「ビューティラボ」や「シエロ」「ビューティーン」「ビゲン」といった商品ブランドを数多く浸透させ、今現在も世界中のお客さまに愛され続けています。しかし企業ブランドに関しては商品ブランドほど注力してこられなかったのも事実です。商品ブランドは強固な地位を築いているものの、今後の市場動向を見極めると企業ブランドをさらに強化することが必要不可欠な課題として浮上したこともあり、ちょうど100年という節目が絶好の再構築の機会となりました。今回の企業ブランド� �構築では、今まで以上に進むべき方向性を明確にし、力を集結して企業力を高めることを目的としてプロジェクトは進行しました。
■具体的にどのような施策を行われたのですか?
まず言語的な施策として、hoyuのプロジェクトチームの方々と共に、新たに「COLOR YOUR HEART(心に彩りを)」という企業スローガンを合言葉にして、社内の意思を統一化していきました。このスローガンには、洗練された商品やサービスを通して、世界中の人々に健康で美しい髪を提供するとともに、心の彩り、すなわち「生活の中での新たな発見・喜び・充実感といった心からの豊かな美を創造し提供し続けていく企業でありたい」という想いが込められています。そしてhoyuロゴマークでは、hのウェーブで外面の美しさを、yのウェーブでは、内面的な心の豊かさを表現していて、お互いが対となって支え合っているワードマークを採用しました。カラーには、イキイキとしたハートを表現したhoyu REDを採用し、心からの豊かな美を創造し提供し続けていく企業でありたいという想いを表現しました。
またhoyuでは、従業員の方々にブランドが目指す新たな方向や意義を熟知していただくため、hoyuのプロジェクトチームの方々と一緒に絵本仕立てでストーリー性のあるブランドブックを制作しました。それは主人公の女の子がhoyuの種を育て、やがてそれが大きな木となり花や実をつけ、その実が世界中のお客さまに広がっていくというストーリーで構成し、ページをめくるだけで誰でも直感的にhoyuブランドを育成する意義がわかるようになっています。ブランドブックの最終ページには、従業員の方々が自分自身の言葉でhoyuブランドについての考えを整理し書き込むスペースがあり、皆でブランドを創っているという認識を持てるように工夫しています。先程もお話したように、あくまでもブランドを創る主役は、従業員の方々1人ひ� �りなわけですから。
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■ほかにもブランディングの施策で有効なものはありますか?
そうですね。私どものブランディングツールのひとつである『CustomerJourney TM(カスタマージャーニー)』をご紹介します。さまざまなアプリケーションツールを作成するうえで何が最も影響を及ぼし、自社のアイデンティティを伝達する重要なアプリケーションはどれなのかを把握することが必要です。つまりそれは、お客さまと企業との間を繋ぐ、最大のタッチポイントはどこかということを意味します。我々はこれを『Power Apps TM(パワーアップス)』と呼んでいますが、それは企業ごとにさまざまで、たとえば航空会社の場合では機体の尾翼がパワーアップスであり、運送会社であれば車両そのもの、食品メーカーであれば看板商品そのものがそれに当たるかもしれません。
英国のbmiという航空会社を例に『Customer Journey TM(カスタマージャーニー)』のことをご説明いたしましょう。bmiではお客さまのほとんどがWebサイトで時刻表を見るなど、大部分のお客さまがここで最初の接点を持ちます。続いてお客さまはチケットを予約し、旅行代理店からチケットを受け取ります。搭乗当日にお客さまは空港へ向かい、チェックイン・カウンターで搭乗手続きを行います。その後、税関を通り、搭乗口では自分が搭乗する飛行機を実際に目にします。離陸後は機内で、座席にあるタッチパネルに触れたり機内食を食べたりしながら過ごします。また到着後は空港で再びbmiの看板などを見ながら目的地へと向かいます。そして、またお客さまはbmiを利用する際に同じようなブランド接点でbmiを体験されるわけです。この一連の流れを洗い出すのが『Customer Journey TM(カスタマージャーニー)』というツールであり、そこでのさまざまな接点がブランドデザインを露出する場となるわけです。
■そのように説明していただくと、確かにお客さまとの接点はいろいろあるんだなということが判りますね。
このように『Customer Journey TM(カスタマージャーニー)』というツールを使うと、その企業にとってどれが最も重要な接点なのかが見えてくると思います。さきほども、航空会社の場合は尾翼デザインが最大のパワーアプリケーションになると述べましたが、業種やビジネスの展開方法によってそれはひとつの場合も、あるいは複数の場合もあります。Webでの通販を最重要販路としている企業ではWebそのものがパワーアプリケーションになりますし、ある企業では車両のデザインがそれになるのかもしれません。
『Power Apps TM(パワーアップス)』とは、その企業とのイメージがイコールになるアイテムであり、ブランドを形成する最大要因となるものです。我々が『Customer Journey TM(カスタマージャーニー)』を用いる場合には、お客さまが繰り返すであろう一連の動作から接点を分析し、それぞれの場所にあった戦略を提案・構築していきます。もちろんその際、お客さまがビジネスユーザーなのかファミリーユーザーなのか、もしくは、自社の従業員に対してなのか、株主に対してなのかというような、そのアイテムが持つターゲットの性質も管理していきながら、それぞれのアプリケーションデザインを考察していきます。
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■自社でブランディングを行うことは可能ですか。
もし可能なら、その方法やアドバイスをお願いします。
自社内でもブランディング活動は可能です。そのためにはまず、社内に各部署の代表者で構成された横断的なプロジェクトチームを作ることをお勧めします。そのプロジェクトチーム内で、現在の自社像と将来向かうべき自社像のイメージを話し合うのです。企業のユニークな点は、商品という有形なものであったりイメージという無形なものだったりしますが、そうした総和がブランドであると位置づけられます。それを分解して考え、自社にとって競合他社とは異なる優位的な差別化要因は何かということに、着目してみると良いでしょう。
「うちの会社にはどんな特長があるのか」「他社に負けないことは何か」を見つけ出していく作業は、どの企業でも難しくない作業だと思います。また自社のパーソナリティーを人にたとえて考えてみるなど、情緒的な価値についても一緒に検討してみることをお勧めします。そして、そうした差別化要因が、顧客はもちろん、社員や株主、地域社会などのステークホルダーにきちんと伝達できているかを再点検しましょう。優位的な差別化要因を探すことと、それを伝達できているかが、ブランド創造の重要なポイントになります。加えてお客さまにもっと、自社の魅力や差別化要因をイメージとして伝えるのには、どんな色が適しているのか、どんな形がいいのか。どのような見せ方をすれば、より理解していただけるのかを話し� �うわけです。ここで導き出された将来の自社イメージを基に、普段から取引のある広告会社や印刷会社などに相談し、デザイン表現としての視点でサポートしていただいたらどうでしょうか。
プロジェクトメンバーは、会社の将来を創造する場なので、30代前後のエネルギッシュな中堅社員の方々を中心にすると良いでしょう。未来を語るということでいえば、「今はまだこの段階だけど、将来はきっとこの分野で1位になるんだ」といった夢も大切です。自社内でブランディングを行うには、何よりも経営者以外にブランドを牽引する強い思い入れのある自社ブランドの伝道師(社員)をまずは1人作ることが重要です。
■ではブランディング作業が佳境に入った頃、特に注意すべき点は何ですか?
自社でブランディングを行う場合でも、弊社のようなブランディング・コンサルタンシーを活用するにしても、大切なのは全社を挙げて従業員1人ひとりが全員参加でやっているという意識です。ですから「プロジェクトチームが何かやっているらしい」や「ブランディングは広報部門に任せておけばいい」といった印象を与えてしまうようなことは避けたいものです。従業員全員に、どこの部署であろうが自社ブランドを創っているのだということを、まず認識していただいてください。
先ほど述べましたが、ブランドブックは社内にブランディングを浸透させていくベスト・プラクティスのひとつです。この他にも、新しいブランドイメージのビジュアルをデザインしたスクリーンセイバーを従業員の方々に配布するのも有効な手段。普段の業務の中で「うちの新しいブランドの世界観って、こんなだったな」と日頃から感じ取っていただくと、かなりの効果が期待できます。たとえばある植物が新しいブランドイメージと合致するならば、その植物を社内のいろいろな場所に配置しておくのも良いでしょう。他にも、名刺サイズの小さな紙で良いのですが、新しいブランドの理念や考え方などを書いたブランドカードを普段から従業員の方々に携行していただくというのも、ひとつのアイデアです。
我々はこのようなアプローチを『Brand Engagement TM(ブランドエンゲージメント)というような言い方をしているのですが、例えば、アイデアとしてスクリーンセイバーや植物などを活用して、インナーに対して常にブランドの存在を気づかせるような空間や場面を創ってあげることが、ブランドの伝道師を育成する早道になります。このようにちょっとアイデアを絞るだけで、わざわざ丸1日拘束するような研修を行わなくても日々ブランドを浸透させていく方法があると思います。それぞれの企業で自社に合った方法をぜひ探してみてください。
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■ここで視点を少し変え、企業ブランドと商品ブランドの関係性についてお聞かせいただけますか?
商品ブランドに関して企業ブランドと明らかに違う点は、コンシューマーインサイトの重要度です。お客さまのニーズをいかに捉えて構築できるかということになります。まず、お客さまの声を聞く中で戦略的な方向性を決め、その商品が機能的にどのような点がユニークか、情緒的にはどのようなキャラクターを持つべきなのかを、議論していきます。また商品ブランドは、その商品が陳列される環境によっても大きく戦略が異なります。購買するにあたって意識される要素が商品のカテゴリーによっても変化します。たとえばお茶では本格感が求められ、牛乳では新鮮さが求められます。このように、明らかに企業ブランドとは別の次元で解決しなくてはいけないブランドの捉え方が必要です。
企業ブランドに関しては、もちろんお客さまの声も大切ではありますが、最も重要なのは「企業としてどうあるべきか」という姿勢です。ここが商品ブランドの構築と大きく異なる出発点です。また実際には、企業によって商品ブランドが認知されていたり、反対に企業ブランドが認知されているなど、状況はまちまちだと思います。そこで企業ブランドと商品ブランドの関係性を重要視して、バランスよくエンドース(是認)するケースが最近見受けられます。これはブランド・ポートフォリオの考え方の1種ですが、企業は、ブランド・ポートフォリオを周到かつ統合的な方法で管理しなければなりません。各ブランドが企業の成功にどのように貢献するか、そしてブランド全体がどのように連携すればビジネスやブランドの目標達� ��に効果を与えられるかを理解しなければなりません。つまり、ブランドの関係性を考えるうえで、理想的なブランド体系やポートフォリオ内のブランド間の関係を定義し、ブランドを新しい市場、チャネル、セグメントへと拡張するための最適な方法を見つけ出す必要があるわけです。
■最後に経営者の方々へ、企業ブランド創造についてのアドバイスをお願いします。
ブランド・バリューエーションに対して興味がある経営者の方々も多いと思いますが、最近では経済産業省、企業法制研究会が2002年に「ブランド価値評価研究報告書」を公表しました。算出手法の試案も公表されています。もし興味がおありでしたら、そういったものを活用するのも良いかもしれません。ただし、その算出結果は単なる結果に過ぎず、そこから何かブランドができるという訳ではありません。確かにブランドを財務的な視点で見る価値評価軸が注目されていますが、これは話題を集める一方、かなりの混乱を引き起こしているのも事実です。大切なのはブランドを構築したことによって、中長期的な視点でみた全体的な総和として、どれだけそのブランドにロイヤルティを持った人たちが増えたかであり、また結果� �して売上に貢献できたかです。つまり、ブランド価値を単純に一方向で見るのではなく、財務的な評価軸で換算できないものも含めたなかでもっと全体的に評価すべきです。商品ブランドや企業ブランドにどれだけ多くのファンがいるのかということが、結果的に真のブランド価値につながると思います。ですから私どもは、ブランド調査を重視するだけではなく、ブランド活動そのものの費用対効果に重点を置き、投資をするべきであると考えます。
本来、事業は経営者が従業員に企業理念やビジョンを伝達・啓蒙して日常業務を遂行させ、それに対して顧客をはじめとするステークホルダーの反応が経営者にフィードバックされる構図になっています。一方で、ブランド活動を行ううえで重要なことのひとつとして、経営者自らが、顧客や株主に対して直接コミットメント(約束)を交わすことが挙げられます。そのため従業員は、コミットメントを履行するために顧客や株主に対して、すぐさまその約束を反映した業務を行わなければならない。つまりブランド活動は、経営のスピードと質を高める良い機会でもあるわけです。ここまでご紹介したようなプロジェクトチームの活用によって、自社ブランドへの意識改革や恩恵が得られると確信しています。皆さんの会社でもぜひ� �践されることをお勧めします。
ランドーアソシエイツのブランディング手法
hoyuのブランドブックには、ブランドを周知徹底させるためのさまざまなアイデアが詰め込まれている。それは社長の声明に始まり、ブランドを再構築する意図や従来の自社イメージと今後のイメージの違い、外部にブランドを伝えるためにどう考え行動すべきかといった内容だ。また、顧客と企業の関係を全体的な相互関連性のある視点で見直すことが重要だ。ランドーアソシエイツでは「Customer Journey TM」と呼ばれるソリューションツールを用いて、顧客との接点であるブランドタッチポイントを探し出し、それぞれの場所や場面にあった戦略を提案・構築している。その際、それぞれに対応するアプリケーションデザインを展開していくのだが、カラーシステムのメインカラーとサブカラーを使い分けていく作業が重要になると言う。さらに最終的には、新たに規定されたブランドミッションやブランドイメージ、スローガンからビジュアルやカラーシステム、広告などの多岐にわたるブランドに関わる要素を新たな世界観として整理・構築し考察を行う「Brand Universe TM」というソリューションツールも作成する。
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